上陸条件を満たさない外国人が、特別審理官による口頭審理で、上陸条件不適合であると認定されてしまったケースの続きです。
この認定に対し、当該外国人は2つの選択肢があります。
ひとつは、認定に服す旨を表明し、「異議申出放棄書」に署名し、「退去命令書」を受け取るという選択肢。
もうひとつは、「認定通知書」受領日から3日以内に法務大臣に対する「異議申出書」を主任審査官に提出するという選択肢です。
本稿は、後者のケースについてのものです。
この場合、法務大臣は、異議申出に理由があるかどうか、つまり、当該外国人が上陸のための条件に適合するしているかどうかを裁決します。
裁決の結果、「理由あり」とされた場合は、上陸が許可されます。一方、裁決の結果、「理由なし」とされた場合、退去命令を受けることとなります(退去命令を受けた外国人が遅滞なく日本から退去しない場合、退去強制手続が執られることとなります)。
なお、異議の申出に「理由がない」との裁決がなされた場合、例え、口頭審理での特別審理官の認定に誤りがない場合であっても、法務大臣は、特別に上陸を許可すべき事情があると認められるときは、当該外国人の上陸を特別に許可できる裁量を有しています(上陸特別許可)。
この上陸特別許可の類型としては、
1.再入国許可を受けているとき(「再入国許可」については、別途投稿します)
又は
2.当該外国人が人身取引等により他人の支配下におかれて日本に入ったものであるとき
又は
3.その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき
となります。