外国人の上陸の条件のひとつとして、上陸拒否事由非該当性があることについては、既にご案内したとおりです。
従前、上陸拒否事由のひとつである強制退去歴のある外国人が日本に入国する際、
1.入国審査官による通常上陸審査の他(「第1の盾」)、
2.特別審理官による口頭審査における認定(「第2の盾」)、
3.認定結果を受けて、法務大臣に対する異議申出を行ない、異議に「理由あり」との裁決(上陸特別許可)を受ける(「第3の盾」)
という3つの手続きを得る必要がありました。
本稿では、
上陸拒否事由のうち、4号(懲役・禁錮歴)、5号(ドラッグ等での違反歴)、7号(売春関係業務従事歴)、9号(退去強制歴等)、9号の2(退去強制回避=出国後に日本で判決が確定する場合)に該当する場合であっても、
法務大臣が相当と認めるとき(=入国を許容する判断が法務大臣により実質的になされているとき)には、
口頭審査や上陸特別許可を受けることなく、
入国審査官が上陸の許可を証印できる、
という「上陸拒否の制度」についてご紹介しています。
制度適用の前提として法務省令には2つのケースが記されています。
まづ、「当該外国人が在留資格をもって在留している」ケース。
上陸特別許可、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可、在留資格取得許可、再入国許可、在留特別許可、難民旅行証明書交付、これらに準ずる場合として法務大臣が認める場合、
次に、
「7-1-4」等との記載のある在留資格認定証明書又は「Sクリアランス査証」を受けて入国するケース。
上記の上陸拒否事由に該当することになってから相当の期間が経過している等の特別な理由があることが求められます。
どちらのケースにしても、法務大臣による実質的な入国許容判断が上陸申請前に既に完了している、つまり、当該外国人に対する、ある種の「正規化」が行われることで、手続き自体が簡素化されるという趣旨。
近年の入管法の一連の改正では、申請側及び審査側にとっての「手続きの簡素化」というのもキーワードのひとつかもしれません。
と続き、
次稿では、St.4 住民登録についてご案内したいと思います。