平和条約、日ロ地域・姉妹都市交流年に続くテーマは、入国査証(ビザ)発給体制。行政書士として是非とも注視したいテーマでもあります。
ロシア国営ノーヴォスチ通信が伝えています。
ロシアは数年前から日本に対し、査証(=ビザ)なしに両国民が互いの国に入国できるよう要請を続けています。
マーリン総領事によれば、ビザ撤廃要請は6年前から行われているとのこと。
直近では、昨年10月末、北海道とサハリン間でのビザ免除が要請されたが、結局は現行制度が維持されることになったのは記憶に新しいところ。
マーリン総領事は、現行制度の入国査証発給体制につき、「冷戦時代の産物」と評しており、主に両国間の観光振興の妨げであるとの考えを示しております。今までの交渉の経緯について、「関係省庁(注:外務省、法務省、警察庁のほか、税関、検疫、海上保安庁など)間の調整が必要」との理由で、日本側から明確な回答を得るに至っていないとも述べられています。
JALとANAがロシアとの便を新規就航が成就したことから、日本の訪ロ観光客およびロシアの訪日観光客の持続的増加につなげたいところ(注:ただし、"日本を観光訪問したいロシア人"と"ロシアを観光訪問したい日本人"との均衡がとれているとは言い難いでしょう)。
以上です。
現在、日本が定める「査証免除実施国・地域」は全部で68。マーリン総領事が挙げるタイや中国の他、今日時点で、ハンガリー、チェコ、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア、セルビアといった旧東欧諸国でも90日以内の短期滞在の場合、査証免除国に指定されています(ちなみに、ロシアに対して強行姿勢を貫く国も新規に査証免除国に指定されています)。
ところで、日本に対してビザ免除措置をとっている国は何ヶ国あるのでしょうか?
Henley&Partners Passport Indexによれば、
日本に対しては、191ヶ国からビザ免除措置がとられていることです。これは、信頼性あるいは自由度という点で、日本国の旅券は世界ランキング1位ということに他なりません。結果が出ております。
日本国旅券を所持していれば、ほぼ全ての国連加盟国を、原則自由に旅行できるということになります。
一方で、ロシアに対してビザ免除措置をとっている国は118ヶ国。世界ランキング51位となっております(トルコには勝るが、ウクライナには負けるといったポジション。ちなみに、最下位107位はアフガニスタンで26カ国。北朝鮮は100位で39カ国とのこと)。
結局、日本とロシアとの間で、ビザを撤廃してお互いを「査証免除国」に指定するのが良いのでしょうか?確かに、相手国への入国あるいは上陸という観点からは、利便性の向上が期待できるかもしれません。また、インバウンドの向上につながるとの意見が出てくるのも想像に難くありません。
例えば、
A国への入国を希望するB国の国民Cがいたとします。この場合、CのA国への入国の可否は誰が決める、あるいは、入国可否の裁量は誰が有しているのでしょうか?
A国?B国?B国の旅券を所持するC?
A国=日本、B国=ロシアと置き換えれば、どうでしょう?
ビザ免除の是非を論ずる場合、このシンプルな"そもそも論"から出発してほしいものです(今般の新型コロナウィルスの騒ぎを受けての制限措置も同様)。
そのロシアも明日から、中華人民共和国国民に対して本格的な入国制限に踏みきります。
査証発給の詳細については、また別の機会に譲りたいと思います。